おかしなはなし

後輩が辞めたいと思ったことないですかと、聞くので「あるよ」とこたえた。

会社を辞めたいと思うことなどむしろ、日常茶飯事で素直にいこうと思うことの方がまれだ。

俺はある程度の歳である程度の役職についている。そうすれば物事は単純さからは遠ざかり、いいも悪いも混沌とした鍋の中で自分がいいほうにいるのか悪い方にいるのか、誰かに操られているのか、自分であさっての方向に向かっているのか、全く見当がつかない。

誰も真実を言わない。というか真実が何かわかっていない。だから混沌としているし、俺は常に情報の外にいてまあまあ、うまくだまされながら漂っていくすべを身につけつつあるので、それでよしという気もする。

一度病気を理由に部署を異動したいと申し出たのだが、なにがしかの理由でそれもかなわなかった。それはさすがにおかしいと思うし今でも思っているが、生来のいい加減な性格がわざわいして、それなりの仕事をしながら口に糊している。