居場所を探して

俺の居場所は本の中で、いつもらもさんやスペンサー、マット・スカダーのことを考えていた。スカダーも最終的にはエレインとくっついて、何となくうまくいったけど、跳弾がエストリータ・リベラの目から入り、脳まで達し、亡くなったことを受けて、少しづつ人生が変わっていってしまったマットのことを自分に置き換えてよく思い出す。

ロングアイランドに庭付き一戸建てを買い、幸せに暮らしていたはずのマットには警察を続けることも、家庭を続けることもできなかった。俺は昔はあんまりピンときてなかったけど、今ではその理由がよくわかるのだ。

今までと同じ人間ではいられないんだ。幸せであったはずの砂の城がくずれ、戻るところもなく、ただ現実が恐ろしく残酷なものに見える。そんな精神的に追い込まれた日々を過ごさなきゃならない。

それは病気になって、現場復帰してどこにも属せない、ただふらふらと漂うだけの、俺に似ている。会社は給料をくれるがそれは、俺のことをかわいそうに思ってるからだろう、と思ってしまう。

結局のところ俺はうまく泳げなくなった魚と同じだ。群から離れて死ぬしかない。

現実はもっともっとふくざなのだが・・・・・・