タナトス

俺が若い時に覚えた哲学っぽい言葉で、タナトスという言葉がある。通常エロスとタナトスという感じでセットで使うことが多い。

元々はギリシア神話から来ており、それをかの有名な精神分析学者フロイトが生の本能(エロス)死の本能(タナトス)と対にしてうんたら、かんたら…。

ややこしい話は置いといて、タナトスの中には自己破壊衝動ももちろん含まれる。なにかギリギリのきわどいところのドキドキ感とでもいうのだろうか。

台風が来ても、停電になっても、津波が来ても、積極的な生命維持活動はあまり行わず、自分が今後巻き込まれるであろう厄災に、深い興味を持ってしまうのだ。

実際に大きな被害に合えば、また違う感情や、行動を取るのだろうけれど、フロイトの言う対になった生と死は俺の中でも未分化の状態で、

やっぱり俺はアナーキストなのだろうなと、台風前夜いつものカフェで、いつものように駄文をものしている。

お客さんは俺を含めて3人で、従業員は二人。ただ安心しておくれ。俺には自殺願望なんてないから。緩慢な生を生き、緩慢な死を受け入れる。その狭間で詩を書き、絵を描き、小説を書く。緩やかな好奇心が俺を少しずつ明日へ押し流してくれる。