愚か者よ

ショーケンが亡くなった。近藤真彦レコード大賞をとった「愚か者」を歌っている。同じ時期に発売している。タイトルは『愚か者よ』になっていて、歌詞の一部と編曲が違う。

町山さんの解説の中で今は、罪人ではなく愚か者が裁かれる時代だ、と言った。

そうたとえ罪人でも賢く、要領よく振る舞えば、罪にならない。もしくは罪という攻撃から身をかわすことができる。そういうかしこさが求められる時代だ。

ところが愚か者は、そういう賢さとは無縁の存在で、弱さ、怒り、優しさを内包し、コミュニケーション能力に欠け、政治的な立ち振る舞いができない。だから『愚か者』と呼ばれるのだけれど。

空気の読めないもの。K・Y。そういう人間が断罪される。自己中でわがままな愛すべき人たち。自分の優しさに従う人たち。そういう人たちが断罪される世の中になった。

一本気という言葉ももう死語になってしまうのだろう。誰も高倉健になれない。おしゃべりが世の中を変えてしまった。

俺は沈黙しよう。あえて沈黙しよう。言葉では変わらないもののために。