読書感想文その2

ティーブン・ハンターの「第三の銃弾」を読んだ。面白かった。ボブ・リー・スワガーもので「極大射程」のメンツが出てきて、ジョン・F・ケネディの暗殺の謎解きをする、ちょっとしたオールスターにも似て、お約束通りピンチになる主人公と、それをヒーローならではの素晴らしい能力で切り抜けるアクション、ギリギリで助ける盟友、裏切りの裏切りがあったり、フェイクを見抜く主人公の叡智、そういった娯楽小説の粋を詰め込んだ非常に楽しめる小説だった。

この中で描かれるJ・F・K暗殺犯リー・ハーベイ・オズワルドはどうしょうもないヘタレで、嫌な奴で、自己嫌悪と承認欲求の強い、アメリカで言うところのチキンなのだけれど、実際はどうだったのだろう。俺がこの本を読んで一番自己投影したのはこのろくでなしのオズワルドだった。それを思うともっとしゃんと、社会に適合しなけりゃならないのかなと、思ったりもする。

引退した身でしゃしゃり出るのは、気がひけるがハードボイルド小説を読んだ後は、孤独な戦士の美しさ、潔さに憧れてしまう、昭和生まれのおじさんだった。