昔の彼女

昔の彼女が出てくる小説を書いてる。フリーマーケットで偶然ばったり出会ったという設定だ。

まあ、現実としてはあり得ないし、もし出会ったとしても気づくかどうか。俺は多分気づかないだろう。

向こうはどうなんだろう。俺も年をとったし見た目もずいぶん老けた。

この間自画像を描くために、自撮りして自分の顔をしげしげと穴のあくほど見ていたのだけれど、やはり目の周りのたるみ、目のクマ、頬のたるみ、ほうれい線の深さ、どれをとっても顔はおじいちゃんに近づいてきてる。髪は薄いし、少しでも若者っぽいところを探すとしたら、頭の中とお腹ぐらいかしら。休みのたびにランニングをしてるので、ビール腹じゃない。

それでも20年以上前の俺とは程遠いから、気づかずに通り過ぎてしまうだろう。

小説のなかでは主人公は元カノの家に行ってコーヒーを飲むのだけれど、現実ではそういうことをする女子も中にはいてるだろうけど、既婚者の場合はまあ、そんなことはしないだろう。

いい思い出も悪い思い出も、遠い昔に置いといて、そっとしておくのが一番いいように思われる。死ぬまで秘密にしておくれよ。

しかしそれでは小説にならないので、少しややこしい展開にしようと思っている。

具体的は何も考えていない。さてどうしたものか。やっぱり不倫するのかな。でもそれって逆に普通すぎて俺が考えている、面白い小説とは違うような気がする。何かいい手はないだろうか。