読書感想文らしきもの『リンカーン・ライム』

リンカーン・ライムシリーズの『バーニング・ワイヤー』を読了した。この間ライムはC4だとこのブログで書いた。それでも小説の中で、苦悶、苦闘しながら必死に生きていこうという姿勢に共感し心打たれるみたいなことを、書いたような気がする。

その時俺は薬の副作用でもう一つ病気を抱えそうだったので気が滅入っていて、ライムに感情移入したのだ。

しかしなんと『バーニング・ワイヤー』の最後でライムは、脊椎損傷患者が受ける最新医療を受け、手術した。

俺は少しびっくりしてしまった。このままライムはずっとC4で病気とともに戦うと、思っていたから、いや手術することももちろん病気との戦いではあるのだけれど、リハビリで少し回復することはあっても、最新テクノロジーで手が動くようになるなんて思っていなかったから、なんていうのだろう、嫉妬をしたのだと思う。

共感して感情移入してたから、手術で良くなったライムを羨ましく思ったのだろう。俺は悪くなる一方なのに。

小説の主人公に共感して嫉妬してもしょうがない。所詮はフィクションなんだから。わかってはいるのだがね。俺だって魔法の薬があって、病気を治してくれるのなら、どんなにいいことだろうと、そういうフィクションでも書こうか。それともそんな甘い話は書かないで、とことん病魔に襲われる悲しい話でも書こうか。

僕の師匠である中島らもは現実は悲しいことばかりだからせめて、フィクションぐらいは「明るい楽しい話がいい」とどこかで綴っていた。

楽しい話ばかりを書ければいいのだけれど、ついついグチをこぼす器の小さい自分を発見してしまうのだ。