久しぶりに

今週のお題「好きな街」

特別好きな街はない。たまに行く京都の雰囲気は好きだが、また住むのとは違うのかもしれない。都会人の常として、田舎に憧れはある。それに今はどこにいても、離島とかじゃない限りネットでなんでも手に入る。だからお金があれば田舎暮らしでも不便じゃないんだろうと、想像したりする。都会の喧騒がもう鬱陶しくて仕方がない。病気のせいだろうか。

好きな街は特にないけれど一つ、行ったことがないのに詳しい街がある。ボストン。俺は外国には行ったことがないが、ボストンの地理に詳しい。もしくは詳しかったと言うべきか。

俺はロバート・B・パーカーの「スペンサー」シリーズのファンだった。俺が海外ミステリ、ハードボイルドファンなのはこの本がきっかけだ。チャールズリバーが街の中心部を流れており、ボストンコモン、バックベイ、フェンウェイパークがあって、レッドソックスセルティックホームチームで、チャールズリバーの向こう側にはMIT(マサチューセッツ工科大学)とケンブリッジ大学がある。街を横切る通りはある程度までは頭文字がアルファベット順になっていたはずだ。

スペンサーやホークがこの街で色々な出来事を解決するのだが、いくつもの建物、公園、通りが丹念に書き込まれていて、俺はそう当時ハヤカワから刊行されていた「スペンサーのボストン」という本を買って、ボストンという街並みを憧れと共に眺めていた。

25年以上も前の話だ。その当時俺は学生で、社会人になればボストンに行く機会もあるだろうと思っていたが、それは実現しそうにない。またあれから街並みも少しは変わっただろう。ロバート・B・パーカーも鬼籍に入った。

俺がこんなにも頑固で、融通がきかないのは、おそらくスペンサーになりたくて、しょうがないからなんだろうね。

もしあと15年生きながらえて、無事定年を迎えることができたら、行ってもいいかもしれない。