C4

C4とは第四頸椎損傷した四肢麻痺患者を指す。と言うか今読んでいる小説の主人公リンカーン・ライムがC4で、首から下は右手の薬指しか動かなかった。

最初に出てきたときライムは自殺するつもりだった。しかし四肢麻痺患者は自殺すら簡単にできない。物理的に。その後小説の中でいろいろなことが起こってライムは、犯罪学者として生き続けることになり、相棒も恋人もできた。

俺は健常者ではない。かといって障害者でもない。少々不便だができないことは少ししかない、目の不自由な人間だ。しかし普通の人と同じ事ができるわけではない。ここで言う普通の人と言うのがまたくせ者で、だいたい世の中に普通の人などいない。何かしら持病なり、障害なり、痛みを抱えて生きている。

リンカーン・ライムは食事も排泄も自分ではできない。介護士のトムがいて、やってもらわなきゃならない。他にもいろいろあるだろうが、小説の中でそういうことに言及するシーンは少ない。

仕事をし、愛する人々がいるだけで、自分は生きてる価値、意味があるという。事実そうなのだろう。自分にできることをする。それは障害者も健常者もかわりがない。だから自分ができないことについて、あれこれくよくよ考えても仕方がない。

今日、眼圧が高いと医者に言われた。俺はステロイドを長期間多量に服用している。ステロイド緑内障の疑いがあると言われた。今すぐどうこう言うわけじゃないが、今まで眼科の診察は半年に一回だったが次は3ヶ月後になった。俺は少し不安になり、副作用でまた目が見えなくなると動揺している。

もちろん発病してから6,7年経った。徐々に老いてきている。老眼も進んできている。目が良くなる要素は無いわけだけれど、たどり着く先が見えないのはやはり、怖いとしか言いようがない。

今読んでいる小説の中でライムは発作を起こした。自律神経異常による血圧の異常上昇だ。死ぬ場合もあるという。もちろんライムは主人公だから助かった。だけどもせっかく少しましになりかけていた麻痺が広がったことに、怖じ気づいていた。

すべての病人はこれ以上病気が悪くなることがとにかく最悪の出来事なのだ。そういう意味では俺のステロイド緑内障も俺の心に巣くった腫瘍のようなものだ。