視神経髄膜炎

6年前の3月5日突然、目が見えなくなった。それも少しずつ、見えなくなっていった。オレはどうしていいか全くわからず、病院に行ったが、病院はそんなに悪くなってないみたいにいって、一度追い返された。

知り合いに脳外科の有名な先生をよく知ってる人がいて紹介してもらった。MRIをとった。外科的には何もない、神経内科で緊急入院しなさいと言われた。1メートル先の指の数がもう数えることができなかった。

最初に見てもらった病院に戻って、無理やり緊急入院しようとしたが、夜遅くで先生も緊急で、診察だけしてもらって、ベッドも空いてなくて、その日は帰された。

次の日から入院した。ステロイド血漿交換の治療をした。少しだけ見えるようになった。2月間入院した。最初の1ヶ月は嫁が毎日泊まり込みで、そばにいてくれた。

結局これ以上よくならない、と言われ、再発防止に力を入れましょうといわれた。

オレは物を作る職人だった。ぼんやりした目で何を作ればいい。どうやって作ればいい。というかオレはどうやって生きていけばいい。退院してまず、嫁について来てもらって、家の周りを10分散歩した。問題なさそうだった。次の日は一人で散歩に出た。無事一人で散歩できた。

何ができて、何ができないのか、一つ一つ確認しなければならなかった。電車に乗ることが怖かった。機械の音が怖いのだ。薬の影響で夜眠れなかった。睡眠薬精神安定剤を処方してもらった。

半年後職場に復帰した。もちろん今までやってた仕事はできなかった。部署が変わって、いわゆる軽作業という仕事になった。オレは引退した野球選手だと、自分を納得させようとした。とにかく嫁がいて、子供も小さい。なんとかして働かなければならない、プライドも何もオレには気にする余裕はなかった。

なんとかブログが書けるぐらいまでは、見えるようになった。字を大きく太くすれば、見えないことはない。それでオレは時々、心の中に渦巻くさまざまな感情を、エッセイにしたり詩にしたりして、自分を解放しバランスを保つようになった。