カヌー選手が後輩の選手に薬物をもったり、道具を盗んだりしていた。オリンピックを目指す選手がそんなことで、世間を騒がしている。日本人は一体どうしたのだろうかと思う。武士道みたいなことは、もう遠い昔の話なのだろうか。

昔、僕が子供の頃スポーツは敵に勝つということよりも、体を鍛え心を鍛えるためにやっている、そういう風に教わった。だから補欠でもレギュラーでも、自分が一所懸命やった結果が負けだったり、落選だったりすれば、それは自分の実力不足、努力不足ということだった。

最近はずるをしてでも、他人を蹴落としてでも、人より抜きんでようとする人がいる。昔からいたのかもしれないが、スポーツの世界でもそうなのだろうか。

僕は長いあいだサイクルロードレースのファンだった。2000年代初頭ロードレース界はドーピングまみれで、ずるをして勝つのが当たり前だった。

名誉、自尊心、そういうことを皆学ばないのだろうか。フィリップ・マーロウやスペンサー、マット・スカダーを読んだりしないのだろうか。競争社会ではある。一番になった人が尊敬され、裕福になる。それは当然だが、僕たち庶民は、いっぱいのビールと美しい音楽があれば、ずるをして他人に勝つ必要はないんじゃないだろうか。

金持ちが天国に行くのは、難しいことだ、なんてね