生きている

マーク・ボランは自分は三十まで生きられないだろうと言って、三十の誕生日の少し前に、交通事故で死んだ。ジャニスもジム・モリスンもジョンもフレディも若くして死んでしまった。早逝のロックスターばかり追いかけていたから、自分もなんとなく四十ぐらいで死ぬような気がしていた。

どっこい四十六になった今でも、生きていて、普通に仕事していて、嫁がいて、子供が二人いて、子供の教育資金で、切羽詰まっていて、一軒家に住んでいて、ロックスターとはかけ離れたまともな暮らしぶりだ。

俺の予定と違うから、毎日が戸惑ってばかりで、意外と俺は常識人なのかもしれない。と思うこともある。

家族というのは不思議なもので、こんなわがままで、無責任なおっさんでも、やっぱりちゃんとせなあかんのかなと思わせる何か、世の中との折り合いのような、不安定な足場の上にイヤイヤ毎日立たされて、あんまりしゃべると、敵ばっかり作るから、出来るだけ黙っている。

生きることも仕事の一部のような気がして、ロクでもない鎖で縛られているような閉塞感があって、もう少しお金がないと、自由になれないのよね、たぶん…

この前も書いたけど、生きていること自体は嫌じゃないのよ。生きてて良かったと思う夜が、数年に一回あるから、その一回を楽しみに明日もかろうじて、社会にしがみつくのだろう。

light my fireとドアーズは歌ったけれど、私の火って何だろうって、最近思って、私自身を燃やすのか、私の中の魂を燃やすのか、それとも全く別の何かなのか…

長生きしてしまった分愚痴も多くなったよ。申し訳ない。しばらく付き合っておくれよ。