朝練をしようか
昔、ロードレーサーに乗っていた頃、朝練をしていた。週三回ぐらい4時半に起きて、1時間ぐらいローラー台の上に乗り、汗をかきシャワーを浴びて過ごしていた。
もう自転車はやめてしまった。それはいろんな理由があるけれど、もうあの情熱は俺の心からは生まれない。そう心が年老いてしまったんだ。時々誘われて、ツーリングのようなものに参加することもあって、そこでは坂が出てこない。坂がなければ、自転車の魅力は半分以下だ。坂だけが俺を熱くさせる。それ以外のチャレンジは俺をそんなにも熱くさせることはない。
新しく始めた油絵という趣味は、俺をまた違う角度で覚醒させた。面白い。のめり込む要素がたくさんある。それは俺が基本不器用で、なおかつ目が不自由だということに根ざしていると思う。印象派の絵はまた違うけれど、基本的にものすごく細かいところまで気を配って、ミリもしくはコンマ5ミリ違っても、納得できないもが出来上がる。シビアで作戦と忍耐力と技術力を試される。
俺は描きかけのの絵を何度も見て、何がどうダメなのか、自分に問う。どうしたらもっと良くなるのか、知識がない、誰にも習ってないので、全て自分で解決するしかない。
でもまたそれが気に入っているところでもある。俺はわがままで、頑固だから人の言うことを聞かない。
必然、経験を積むしかない。だから昔を思い出して朝練をしようかと思っている。明日は4時起きだ。
ヘップバーン
朝四時に目が覚めて
また眠ることができないことがわかっていたので
絵筆を持ち出し
続きを描いていた
どうしてだろう、もうやめなよ
自分のことを調べるのは
みっともないよ、さみしくないよ
誰もわかってくれなくてもいいじゃないか
自分のことを考えるのはやめなよ
すぐそばの相手のことを思ってごらんよ
自分の力を人のために役に立てるんだ
小さな力、大きな力、そんなに名誉が欲しいかい
朝四時は少し寒く筆を持つ手が震えた
眉や唇をじっと見つめて
描いては直し、また描いてを繰り返す
目がよく見えないんだろう
うまく描けないなら、手伝ってもらいなよ
なんでも自分でできるなんて
思い上がりもいいところだ
独りよがりの絵なんて誰も見ないし
誰も欲しいと思わないよ
自分のことを考えるのはやめて
心を外に解き放つんだ
そうこんな風に微笑むんだ
オードリー
人の顔を描くのが苦手で、避けてきたんだけど、知り合いのお子さんを描くことになって、しかもお金をもらえるっていうことだから、ちゃんと描かねばなるまいと思って、練習しなきゃいいもんが描けん。
だけどどういう練習しようかなって思ったんよ。何人か顔のアップを描いてみようとなり、じゃあ誰を描くのかって話になる。最初思ったのは、ジョン・レノンだった。好きなんだけどね、ジョンの顔も。でもなあ…少し迷ってジャニス・ジョプリンにしようかなって、思って、うーん、シャウトしてるところのジャニスなんてかっこいいんだけどなあって…。
ロックスターからいっぺん離れてみようと思って、じゃあ誰スポーツ選手、サッカー選手が浮かんで、ペレ、ベッケンバウアー、マラドーナあたりが頭に浮かんで、イマイチピンとこないなあってなって、ルート・フリットを思いついたわけ。
高校生の時の友達の部屋にフリットのポスターが貼ってあってそれを思い出して、ふと思いついたんよ。俺の部屋に貼ってあったポスターを。
「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘップバーンのポスターを。それで俺はやっと描きたい人物を見つけたんよ。誰かの顔を描くのにオードリー・ヘップバーン以外に最適の人物はいない。
昨日少し描き始めた。「マイ・フェア・レディ」じゃなくて「ローマの休日」だけど。目のところを何度も書き直した。まだ完成度は二割ぐらいだけどちょっと見ておくれよ。
109回
109回電話をした。人がいる。関電に。
うちの近所が軒並み停電になって、そして徐々に復旧していく中で、取り残されたようにその人の住んでいるところだけ、停電が解消されなかったみたい。
まあ、いっても関西のおばちゃんだから、何でもかんでも文句は言うんだけど、その人はなかなかのクレーマーだから、自分が言わんと誰が言うのかぐらいの勢いで言ったんだろうね。
でも回数を数えていると言うことは、あとで電話代でも請求するんだろうか。それとも携帯に自動的にカウントされるんだろうか。
そのエネルギーがすごいと思う。損をすることを異常に嫌う。
儒教的な考え方は少しもない。他人のために無償で何かをするということを、極端に嫌う。情けは人の為ならず。回り回って自分に返ってくるから、人に優しくしなさい。という意味なんだけど、間違って覚えている人も多い。
俺なら109回も電話する暇があるなら、のんびり読書でもしていたいよ。他人と比べていても仕方ない。
俺の話
昨日親知らずを抜いた。麻酔がかかっていたが、圧迫されて、ベキ、バキと音が聞こえてきて、ドキドキした。
家に帰って頼まれていた絵を仕上げていたら、麻酔が切れて、だんだんと痛くなってきて、だけど絵の途中だったから、我慢して描いていた。
でもどうしょうもないくらい、痛くなったので、先生に言われていた痛み止めを4錠飲んだ。そしたらだんだん痛みが引いてきて、でも少しぼーっとしてきて、絵に集中できなくなって、やめてしまって、シャワーを浴びた。
大病院でやったので、椅子の上じゃなく、手術台の上で、口だけ開いたマスクみたいなやつ、かけられて、それだけで緊張感漂ってきて、心電図の音もするし、疲れはてたよ。
そんな中書いた昨日のブログがおかしいね。いつもマトモだとは言えないけど、かなり支離滅裂な内容だったね。いや内容はあるんだけど、説明不足でわかる人しかわからない、そんな変な文章だった。
痛み止めと麻酔と安定剤と睡眠薬の効果が遺憾なく発揮されてると、思われる。
ジミー・アームストロング
自分のブログを読んでくれrているひとはおそらく、ジミーアームストロングの店を知らないだろうと思うが、実在する店舗ではないから、それも仕方ないだろう。
親知らずを抜いた帰り、いつもの仕事帰りに作業するカフェでお昼にした。
実のところコーヒー以外飲んだことはない。
初めての食事。もう3年ぐらい通っているが、意外にも俺は、ご飯をここで済ますのは避けていたんだ。
今日は安定剤を飲み、麻酔もしこたまうたれて頭が動かずに、無意識にここにきた。
マット・スカダーがジミーの店に入り浸っていたように、俺もほぼ毎日くる。でも俺はコーヒーにバーボンを垂らすのではなく、安定剤をガリリと飲む。
少しぼーっとしているが、問題ないだろう。もしくは問題が何か認識できないだろう。
ただなんとなく皆さま、愛しております。あなたにとって今日がいい日でありますように…
気が重いよ
今から手術なんだけど、前の手術が押してて、30分遅れるって…
だいたい親知らず抜くのに、大げさやねん。
俺はもう手術の前に疲れてしまった。手術着に着替えて、ただ待つだけ。
まな板の上の鯉はもうのびてしまって、だらけるしかない。